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郵便局からの年賀状 2016

※この記事は年に一度、正月頃に更新されます。
作成日:2013年5月13日、最終更新日:2016年1月5日

ここ数年、郵便局から届く年賀状を集めてる。郵便局というか、正確には日本郵政グループが差出人で、年賀状というか、正確には年賀状じゃないかもしれない、何かそういうの。地域性があるのかどうかも分からないけど、私のところでは毎年、年賀状の束にこれが1枚はさまって届けられる。

ネットを探しても、この「郵便局からの年賀状」に関してはあまり情報がない。検索しづらいので見つけられないだけかもしれないし、誰も興味がないのかもしれない(後者の可能性が高い)。

私もそんなに能動的に集めてるわけでもないけれど、せっかくなので、私が持っている2009年以降の年賀状を並べておくことにする。

■ 2009年

2009_omote 2009_ura

■ 2010年

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■ 2011年

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この頃は、表にタレントからのメッセージが、裏に社長からのメッセージが書かれていた。

■ 2012年

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■ 2013年

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それが2012年の年賀状から一変する。表は、どこかの地方+配達員の後ろ姿+「人の心が、年の初めに届く国。」のキャッチコピーになった。そして、裏は広告。

2013年からは、写真の場所が明記されるようになっている(2013年は、京都府美山町かやぶきの里北村)。このまま「青春18きっぷ」のポスターみたいな雰囲気になっていくと集め甲斐が出てくるんだけど、さて来年はどんな風になるのだろうか?

2014年1月追記
■ 2014年

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2012年、2013年に引き続き、「どこかの地方+配達員の後ろ姿」シリーズとなった2014年。写真のロケ地の記載がないのは残念だが、今回注目すべきはキャッチコピーである。

2年連続で「人の心が、年の初めに届く国。」だったキャッチコピーが、「一月一日、年賀状は人の心に届いている。」へと変更になった。

昨年、「青春18きっぷのポスターみたいな雰囲気に……」と言ってたのが、にわかに現実味を帯びてきた。来年の図案がどんな風になるのかで、今後の方向性が決まってきそうな気がする。1年後を楽しみにしておこう。

裏面は裏面で変化があった。2012年、2013年はただの広告であったが、2014年は広告にタレントが起用された。

毎年変化する郵便局からの年賀状。次回、2015年の1月の更新をお楽しみに。

2015年1月追記
■ 2015年

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さて、やって来ました2015年。今年も郵便局からの年賀状は届いていた。

さっそく図柄を見てみる。メイン写真は、もうお馴染みになった配達員のいる風景シリーズ。今年も撮影場所は書かれていないので不明である。

そして注目のキャッチコピーは、「年賀状が届く。一年がはじまる日に、大切な人を思う。」。ここを毎年変えてくるんじゃないか、という昨年の予想は的中した。

今年は、写真とキャッチコピーのコンセプトも定まり、いよいよこのシリーズも安定期に入ってきたと言えるだろう。おそらく来年も、大きな変更はないと思われる。

ところで、何気なく届いてるこの紙だけど、一体何枚刷っているのか気になる。調べてみると日本の総世帯数が約5500万とのことなので、仮に全世帯に配布されているとすると、発行枚数は5500万枚ということになる。本当に? 現実感のない数字である。

すぐ捨てる人も多いだろうし、他の年賀状と一緒にしまいこむ人もいるだろう。いずれにせよ、国内に莫大な枚数が存在し、それなのに意識的に見ている人、集めてる人はほとんどいないんじゃないかという、何だか不憫な紙である。

次回、2016年の1月の更新をお楽しみに。

2016年1月追記
■ 2016年

2016_omote 2016_ura

さて、毎度おなじみ「郵便局からの年賀状」である。
同じ事を毎年やってると、もうあんまり気の利いたコメントも出てこないのだけれど、飽きずに更新。

今年も、片面は風景写真、もう片面がタレントという、ここ数年のフォーマットを踏襲している。
違いがあるとすれば、今までの風景写真にはバイクが写っていたのが、今年は郵便車になっているところだろうか。そんな何気ない変更に気付くことができるのも、毎年見ているおかげである。あと社長のサインが毎年同じである、というのもさっき気付いた。これはいい気付きである。

タレント写真の方は言及すると消されそうなので(事務所的に)ノーコメントとしたい。

次回、2017年の1月の更新をお楽しみに!


[DPZ] ぶらり郵便ポストの旅

デイリーポータルZに寄稿しました。

『ぶらり郵便ポストの旅』
http://portal.nifty.com/kiji/150707194007_1.htm

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ずっと気になっていた「ポストの路線図」を解き明かすべく、ついに実地調査(郵便取集車を追いかける)を行いました。結果的に出来上がったのが、上の路線図。

誰か他の路線も調査してくれないかなあ、と密かに願っています。


[DPZ] 定礎は南東にあるのか

デイリーポータルZに寄稿しました。

『定礎は南東にあるのか』
http://portal.nifty.com/kiji/150611193778_1.htm

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最近気になって集めている定礎ネタです。
定礎は南東にあるのか? という、比較的どうでもいい感じの疑問を確かめるべく、建物の南東角を執拗に調査してみました。

こちらの記事も合わせてどうぞ→ 『定礎観察入門


iOSのアイコンを端に追いやる遊び

iPhoneやiPadを持っているみなさんは、アイコンを端に追いやって遊んだ経験はないだろうか。
今回はそれで遊んでみようと思う。

アイコンを端に追いやるというのは、つまりこういうことだ。

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ホーム画面でアイコンを右に追いやろうとすると……

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指を離したとき「それ以上は行けません!」という感じで、アイコンが反発して戻ってくる。

この反発に負けず、どんどんアイコンを右に追いやっていくのだ。

どうやるかというと、

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まずアイコンを右にスライドさせる。タップを離すと反発して戻ってしまうので、指はそのままに。

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この状態で画面左の方にもう一本指を置き、それを静かに右にスライドさせながら、最初に置いていた右の指を離す。

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すると左の指でアイコンの反発を引き留めることができるので、それをそのまま右にスライドさせ、追いやる動作を継続する。

これをタイミング良く繰り返すと、アイコンをどんどん右の方へと追いやって行くことができる。

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アイコンは右に行けば行くほど強い力で元に戻ろうとするので、気を抜かずに徐々に端へと追いやって行くのだ。

この様子を動画で見てみよう。


ちなみに、次の動画のように、アイコンが元に戻ってしまった場合は失敗になる。


どうだろう。楽しくないだろうか。楽しいでしょう!(強要)

アイコンを端に追いやるのに慣れてきた方は、今度は片手にも挑戦してみたい。

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片手でやる場合もやりかたは一緒なのだが、早くしようと思うと、絶妙のタイミングで二本の指を交互にタップして、画面に指が触れてない瞬間がないようにしないといけない。これが結構難しい。指で競歩をやっている気分になってくる。

少しでもタイミングを誤ると、アイコンは左の方へと引き戻されてしまう。
この引き戻される力に負けず、アイコンが全て画面右端に隠れて見えなくなったらミッション完了。お疲れ様でした。

と、まあ、ただそれだけの遊びである。


「顔出せない看板」のもどかしさ

「顔出し看板」(もしくは「顔出しパネル」、「顔ハメ看板」、「顔ハメパネル」)というものがある。

kao00一般的な「顔出し看板」

観光地を中心に、全国いたるところに設置されているので、見たことがある方も多いだろう。
先日も『タモリ倶楽部』で特集されたりと、どこかを巡って何かを集める界隈の趣味人(私は「めぐりコンプリーター」と呼んでいる)にとっては、定番の観察対象である。

その概要を知るために、まずは私が見つけた中で面白いと思った「顔出し看板」をいくつか見ていこう。

kao01手書きで味わい深い顔出し看板。

kao03電車の窓が大胆に切り抜かれている、上半身出し看板

kao04顔ではないところに穴が空いている手出し看板

kao05最近では、人外生物の顔出しも多く見られるようになった。これは鳥タイプ

kao10斜めに顔を出すテクニックを要求される、顔出し難度の高い看板

このような「顔出し看板」は、集めてる人がいっぱいいるので、これ以上の情報は別のサイトを参照して頂きたい。本ブログでは、これを踏まえた上で、「顔出せない看板」を紹介したい。

どんなものなのか、まずは写真を見ていただきたい。

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ご覧の通り、顔が出せない看板、これこそが「顔出せない看板」である。

――というかこれ、ただのキャラクターパネルじゃないか?

と思った方もいるだろう。しかし、「顔出し看板」の存在を知っている我々にとっては、これは「顔出せない看板」なのである

「顔出せない看板」は、「顔出し看板」のカウンターカルチャーであるとも言える。つまり、看板に顔を出したいという人類の欲求に対して、顔を出させないようにすることで反抗の意思を示していると考えるのだ。

顔を出したくても出せないもどかしさ、それが「顔出せない看板」の魅力である。

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上の写真は、東北新幹線のキャラクタである。これは顔が出せるようになっている。しかも、子どもが顔出しやすいよう、背が低めになっているのも親切である。

しかし、「顔出せない看板」では、そんなことお構いなしだ。

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顔が出せない上に、等身がリアル(というか実写)になっているのにも注目したい。これぞまさしく「顔出せない看板」である。

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これは何の変哲もない「顔出し看板」のようだが、よく見て欲しい。その横に、何食わぬ顔で石像(トルハルバン)の看板が立っている。「顔出し看板」があることで存在が希薄になっており、普通の人なら気付かずに通り過ぎてしまうだろう。しかし、私の目は誤魔化されない。お前は「顔出せない看板」だ!

なお、「顔出し看板」にも「顔出せない看板」にも属さない看板も発見されている。それが、この「首乗せ看板」である。

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定礎観察入門

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「定礎」について考えたことがあるだろうか。ビルのエントランス部分などにある、石に刻まれたアレである。

「定礎」とは一体何なのか? 何のためにあるのか? というのは気になるところだけれど、私も詳しくは知らないので、その辺は別のサイトを見て頂きたい。

ここでは、そういう役に立ちそうな知識ではなくて、「定礎」という物体そのものが持つ様式的な面白さに迫っていきたい。

――とは言ったものの、実のところ私も定礎に関しては全くの初心者である。そもそも、定礎が面白いのかどうか、それすらもまだよく分かっていない。「何か定礎が面白そうだ」という気配を感じた段階であり、全てはこれからの話なのだ。

普段なら、ある程度理解が進んだ段階で「定礎のこんなところが面白いんですよ!」という記事を書きたいところだ。しかし、せっかく入門者という立場に立っているのだから、私が定礎に詳しくなっていく様子を書いてみるのも面白いんじゃないか、と思った。今回は、その入門編である。

そんなわけなので、これから私と一緒に「定礎」の世界へと足を踏み入れていきましょう。

■ 定礎を集める

定礎は、何食わぬ顔で我々の日常生活に溶け込んでいる。それゆえ、ほとんどの人は定礎を意識することはないし、「石に『定礎』っていう文字が書かれている」くらいの認識しかないだろう。

よって、まずはいろんな定礎を眺めてみることが必要であろうと考えた。

今回は最初ということで、「とりあえず定礎の写真を20枚集める」というのを目標にして、ビルが屹立するビジネス街をさまよってみることにした。

そうして集めた定礎が、これである(結果的に21個集まった)。

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ビルばかりの場所を歩いたので、20個くらい簡単に見つかるかと思いきや、探してみると意外と見つからない(1時間半かかった)。きっとこれは、定礎初心者がぶつかる最初の壁なのではないかと思った。

そんな定礎探索に関する諸問題について、まずは共有しておきたい。

■ どこに定礎があるか分からない

私は、なんとなく「定礎はビルのエントランスにある」というイメージがあったため、そういう部分を重点的に見るようにしていた。

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たしかに、ほとんどはビルのエントランスにある。しかし迂闊だったのは、大きなビルになるとエントランスがいっぱいあって、どこを見ればいいのかさっぱり分からないのだ。そのくせビルは巨大なため、周囲をぐるっと回るだけでも大変な労力なのである。

そして、苦労してビルの周囲を探索しても、必ずしも定礎があるとは限らないのであった。

■ 定礎の文字がよく見えない

定礎は石に刻まれており、それについては今回集めた21種類の定礎の中で例外は見つかっていない。しかし、石と言ってもいろいろあるのだ。そう、なんとか石とか、なんとか石とか……(石の名前は分からないので誤魔化した)。

その石の種類によっては、刻んであるんだかないんだか、さっぱり分からない場合がある。
例えば、こんな定礎。

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これは写真の撮り方が悪いのではなくて、肉眼で見てもあまり変わらない。石の模様の主張が強すぎて、掘った部分の影がよく見えず、結果として定礎があるのかないのか分かりづらくなっているのだ。

こういう定礎を、私は「ステルス定礎」と呼ぶことにした。

■ 定礎が隠されている

最後は、環境要因である。これらの定礎を見て欲しい。

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定礎の前に物が置かれたり、扉で隠れたり、植物が茂っていたりする。なので回り込んだり、かがんだりと、姿勢を変えないと定礎が見えないのだ。「定礎の前に物を置くなんてとんでもない!」と言いたいところだけど、そんな理屈は聞いたことがないので、まあ仕方がないのかなと思う。これに関しては注意深く探すほかない。

このタイプは「隠れ定礎」と呼ぶことにする。


さて、そんな苦難を乗り越えて集めた定礎。まだサンプル数が21個ということで、深い考察や分類はできないのだけれど、それでも観察してみて初めて気付くことがいくつかあった。

ここからは、定礎初心者の私なりに気になった点を見ていきたい。

■ 定礎石には分離型と一体型とがある

これは何かというと、「定礎」という文字が刻まれている石と壁材との関係である。

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上の写真の定礎は、壁材とは違う種類の石が壁に埋め込まれている(あるいは貼り付けられている)。

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一方で上の写真の定礎は、定礎の文字が壁に直接刻まれていることが分かるであろう。

前者を「定礎石分離型」、後者を「定礎石一体型」と呼ぶことにしたいと思う。

ちなみに今回収集した21種類のうち、分離型と一体型の比率は5:16となり、一体型(壁に直接刻まれている)の方が多数を占める結果となった。

私の中では、定礎というと「壁にプレートが埋め込まれている」というイメージがあったため、この気付きは意外なものであった(もちろんもっと数を集めないと分からないけれど)。

■ 「定礎」の文字は手書き

定礎の文字は、毛筆体で書かれているというイメージがある。そしてそれは、ほとんどの場合当たっているのだけれど、よくよく見るともっと別のことに気付いた。

きっかけは、この定礎である。

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「字が下手」なのだ。

前に、なんとか大臣が「○○省」の看板を手書きして、それが下手くそだと話題になったことがあるけれど、これも同種のものだと思われる。ビルのオーナが毛筆で書いた文字をそのまま石に刻んで、こんなことになったのだろう。

そういう目で定礎の文字を見てみると……

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同じ毛筆の「定礎」でも、どれも微妙に違っていて、個性があることに気付くだろう。こういうのはフォントを使ってるものだと勝手に思い込んでいたが、実は「誰かの手書き文字」なのであった。
どれをみても、全部違って、全部良い。

これは重要な観察ポイントになり得ることを確信した。

■ 年号部分の書き方

一方、定礎に付随する「年号」部分の文字はどうだろう。これは、「定礎」と違ってフォントだったり、そうでなかったりするようだ。

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西暦だとフォントで、

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和暦だと手書き、というのがパターンとしてある気がする。

そんでもって、この年号の書き方にも特徴があった。一番面白かったのは、この定礎。

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年号が縦書きになってるのは珍しい感じがするし、右は和暦で「昭和五年五月」、左は西暦で「紀元千九百三十年」と書かれている。何でこんな書き方をしてるのか分からないけれど、言い換えればこれくらい自由でいいのだ、定礎というやつは。

■ 「定礎」以外の定礎

「定礎」と書かれていない定礎もあった。

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上の写真は、その様子から明らかに定礎だと分かるのだけど、「定礎」とは書かれていない。定礎は、「定礎」と書かれていなくても、はっきりと定礎なのだ。人間の認知能力の高さに感心せざるを得ない。

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ところで、この定礎っぽいものには “Erbaut” と書かれており、それは何とドイツ語の「定礎」に当たる単語なのであった。

定礎初心者の私でも、英語の定礎があるのは知っていたが、よもやドイツ語の定礎があるとは思いもしなかった。もっとワールドワイドな視点を持たなければいけないなあ、と思った次第。

■ 最後に

以上、定礎観察の最初の一歩として、私が適当に定礎を観察をしてみて分かったことを書いてみた。
当初はなんてことのなかった定礎が、なんだかとっても面白いものに見えてこないだろうか?

分類が好きな私は、こんな風に何でも集めて分類して、しまいには勝手に名前を付けてしまう癖がある。

定礎を探しているときも、絶えず「この定礎は他の定礎と比べて何が違うか」というのを考えていて、定礎間の差分を抽出している。
そうして特徴的な差分が見つかると、それを手がかりにして分類が可能かどうかを考え、今ここに書いたようなテキストにして体系的にまとめていく。

分類の仕方は、最初のうちは曖昧な感じで構わない(上の文章も、きれいな分類にはなっていないと思う)。何しろ、今回は21個の定礎しか見ていないため、まだまだ出現していない定礎のパターンがあって然るべきなのである。その辺は、今後の観察を通じて適宜修正していけばよい。

肝心なのは、こうした勝手な分類を積み重ねることで、自分の中での「定礎像」が出来上がっていき、だんだんと定礎を見る目が変わってくる、ということである。

そして次第に、新しい定礎を探し出すということが、まだ見ぬ定礎への渇望へと変わっていく。定礎を見つけることに喜びを感じ、たまに突拍子もないものが見つかると、勝手に盛り上がって大喜びしたりする。なんてことはなかった定礎が、とても楽しい観察物に変わる瞬間である。

もう少し定礎に関する造詣が深まったら、続編を書こうと思っている。


余談。
ところで、何でいきなり定礎に興味を持ったかというと、最近作った「Web定礎」という、Twitter連動のウェブサービスがきっかけである。

「Web定礎」は、「誰でも簡単に定礎ができる」というのをモットーに、Twitterのタイムライン上に投稿日(定礎日)と自分のIDの入った定礎画像を投稿することができる。

何のことやらさっぱりだと思うが、私もさっぱりだし、さっぱりだけども良いサービスだと思うので、気になった方はぜひ使ってみて下さい。

Web定礎


電車内のエントロピー

同人誌版「日常想像研究所」(2012年5月発行)をKindle化しました!
 
   nichijo_sozo_lab
   Kindle版「日常想像研究所」
 
本記事「電車内のエントロピー」は、そのKindle版から一部抜粋して再構成したものです。
これを読んで気に入って下さった方がいましたら、Kindle版をご購入頂けるとうれしいです(とても)。
Kindle版には、本記事の他に6本+αのコラムを収録しています。
 
同人誌版の第2巻にあたる「日常想像研究所 Vol.2」は、第二回文学フリマ大阪第十九回文学フリマにて頒布開始の予定です。こちらも合わせてよろしくお願いします。

鉄道で旅をするのが好きだ。

鉄道好きの人はたくさんいるけれど、私の場合は、ただひたすら鉄道で全国各地を巡るのが好きという、分類上はいわゆる「乗り鉄」である。

――思い起こせば2003年春、私は唐突にJRの全路線に乗ろうと思い立って、いわゆる「JR全線乗りつぶし」を始めた。それからというもの、時間を持て余す大学生の特権を生かして、全国各地の路線を西へ東へ駆け巡った。ある時は鈍行列車を乗り継いで四国から稚内まで一週間かけて走破してみたり、またある時は夜行列車に連泊してヘロヘロになったりもしながら、コツコツとJR線を乗りつぶしていったのだ。

そして、乗りつぶし開始から約7年が経過した2010年5月16日、草津線の柘植駅にて、ついにJR全線・約2万キロの完乗を達成したのであった――

と、それくらい鉄道に乗るのが好きである(ここまではただの余談である)。
 

そんな話を人にすると、決まって「電車に乗ってるときは何してるの?」と聞かれる。何をしているのかと言うと、ずっと車窓の風景を見て過ごしている。長時間乗車で暇だと感じることはほとんどなくて、車窓さえ見られれば、基本的に何時間でも電車に乗っていることができる。……そう、車窓さえ見られれば……。

恐ろしいことに、世の中には車窓が満足に見られない電車というものが存在する。それが、ロングシートの通勤電車である。

IMG_0145ロングシートの例

一般的に、車窓は進行方向に向かって座っている状態が一番見やすい(と思う)。そのため、横向きに座るロングシートは、そもそも車窓観賞には向いてないのだ。いわんや、人によって窓が遮られるラッシュ時はなおさらである。

しかし、いくら車窓が見られない(見にくい)とはいえ、必要に迫られて乗るのが通勤電車である。強制的に車窓が見られない環境にあっては、車窓以外に楽しみを見い出すしかない。

そんなポジティブな気持ちで車内を見渡わたしてみると、車窓ばかり見ていた時には気付かなかったものが、逆にいろいろと見えてきた。混雑した車内にいながら、パッと視界が360度開けたような、そんな感じの気付きである。ここからは、その話をしていきたい。

ロングシートの座席位置とエントロピー

まず気になったのが、「椅子の磨り減り方」である。

ロングシートの表面をよく観察すると、明らかに磨り減り方の激しい場所と、そうでない場所とがあることが分かる。これは当初、単なる確率的な使用頻度の差だと思われた(ちなみに、私はこの現象を「使用頻度差」と呼んで忌み嫌っている)。しかし、ロングシートの場合は、そんなに単純な話でもない気がするのだ。

ある日のこと、いつものように通勤電車に揺られていた私は、気になる光景を目にすることになる。

ロングシートの通勤型車両、席の埋まった車内。電車が駅に着くたび、ある人は席を立ち、またある人は入替わりで席に着く。そんな何気ない日常の中で、それは起こった。

電車が駅に到着し、ロングシートの端っこに座っていた人が下車しようと席を立ったその瞬間である。それまでシートの中ほどに座っていた人が、ズズズッと腰を浮かして、空いたばかりの端っこの席に移動したのである。なんと!

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……と、大げさに書いてはみたものの、こんなのはよくある光景である。しかし、この光景を何度も見ているうちに私は、だんだんとあることを想像するようになった。

「ひょっとしてロングシートには、『端っこに人を吸い寄せる力』があるんじゃないか?」と。

座席の端っこを取りたい気持ちは分からないでもない。真ん中に座ると両隣を人に挟まれる格好になるけれど、端っこに座っている限りは必ず片方にスペースが出来る。
しかし、そんなありきたりな理屈で考えるのは面白くない。この「端っこに移動する」現象を、もう少し別の概念で説明できないかと考えてみた。

いま、ロングシートの両端にいる人が席を立ったとする。すると席に残った人は、いま座っている位置から近い方の端っこへと向けて、ズズズッと席を移動するのが自然であろう。よって、ロングシートの座席には、シートの真ん中を境界として、その位置によって傾斜的に「端っこの席へと引き付ける力」が働いていると考えることはできないだろうか。

ここで、この端っこの席へと引き付ける力を、そのシート位置におけるエントロピーによって生じる力と考える。
エントロピーとは何ぞや、というのは厳密には説明しないけれど、要はそのシート位置の「安定度」だと考えれば良い。つまり、座席の中央部は不安定(エントロピーが低い)であり、そのためより安定な(エントロピーが高い)端っこの席へと乗客は移動していると考えるのである。

densha1ロングシートの座席位置とエントロピーの関係

これにより、シートの真ん中ら辺に座った人が端っこへと移動する様子が、感覚的に想像できるようにならないだろうか。
「嗚呼あの人は、より安定でエントロピーの高い座席に移動したんだなぁ」と。
これはつまり、「エントロピー増大の法則」に従っているものと考えることができる。

ドア付近の位置とエントロピー

また、ある日のことである。先の話と似たような現象を、今度は自分の身を以って体感することとなった。

それは、ほどよく座席の埋まった電車内でのこと。座るスペースはあるにはあるけれど、そんなに長時間乗るわけでもなし、窮屈な席に無理に座ることもなかろうと思った私は、ドア付近のスペースに立つことにした。このような場合、多くの人はドアのすぐ脇に陣取ると思う。しかしそのときの私は、なぜか両サイドのドアから一番離れた、ど真ん中の位置に立ってみようと思ったのである。

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一度同じことを試してみるとよく分かるので、是非とも自分で体験してみて欲しい。そのど真ん中の位置というのは、なんとも落ち着かないのである。よっぽど混雑していて、そこしか立つ場所がないならともかく、ドア側は空いているのに敢えて真ん中に立つのだ。私は妙に不安定な気分になって、そのうちズズズッと体をドア脇に移動させていた。

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これは、先ほどの「座席の端っこへと移動する」動きに近いものがある。
つまりドア付近の場所にも、エントロピーの高い場所と低い場所が存在していて、私たちは無意識のうちにエントロピーの高い位置を選んで立っていると考えることができるのである。

その様子を二次元的に表すと、ちょうどこんな具合だ。

densha2 ドア付近の位置とエントロピーの関係

電車全体のエントロピー分布

以上、2つの話を総合すると、ロングシートの電車内におけるエントロピーの分布を想像することができる。

つまり、座席や通路を含む電車内には、エントロピーの高い場所と低い場所がそれぞれ存在している。
ズズズッと腰を浮かして端っこの座席へ移動してしまうのも、端っこの方がエントロピーが高いから。ドア脇に立つのも、その位置の方が真ん中よりもエントロピーが高いから。

このように、エントロピーの分布を想像することによって、電車内にいる人々の位置が、何となく説得力を持って見えてこないだろうか。座席が端っこだけ極端に磨り減っているのも、エントロピーの高い端っこには人が集まりやすいから当然のことなのだ。

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ラッシュ時には、「ドア付近には立ち止まらないで下さい!」という駅員の怒鳴り声が聞こえてくることもある。
確かに、まだ乗る人がいるというのに、ドア付近の場所を必死に確保しようとする人もいる。
「邪魔だなぁ」と思うのは簡単だけど、「そこ、エントロピーが高いからなぁ」などと想像してみると、また少し違った世界が見えてくるのではないか。

つまらないと思ってることでも、案外自分の想像ひとつで、面白いことに変えられるのかもしれない。そんなことを感じた、通勤電車のひとコマであった。


電波時計に最高の贅沢を

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うちにある電波時計は、ほとんど電波を受信することがない。おそらく、鉄筋コンクリートのマンションに住んでいるせいだろう。

それなのに、毎日決められた時間に電波の受信を開始し、必死に時刻合わせをしようとする電波時計。そんな姿を見ていると、本来の性能が発揮できない場所に置いている私が悪いように思えてきて、何だか申し訳ない気持ちになってきた。

『電波時計を、思いっきり電波が受信できる場所に連れて行ってあげたい』

そんな思いを抱いた私は、電波時計と一緒に旅に出た。目指すは、電波の発信源である「はがね山標準電波送信所」である。

電波時計の憂鬱

電波時計が受信している電波(標準電波という)は、福島県の「おおたかどや山標準電波送信所」と、福岡県と佐賀県の境界にある「はがね山標準電波送信所」から送信されている。そして日本列島のほぼ全域が、この2箇所から送信された電波でカバーされているようだ。

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私が住んでいるのは大阪なので、どちらの送信所からも500km程度の距離がある。それでも外に出れば、それなりに標準電波を受信することができる。実際に、私が使っている電波受信機能付きの腕時計は、外出した時に時刻を合わせるようにしている。

しかし、これが鉄筋コンクリートの建物内となると、電波の受信は絶望的と言ってよい。私の家にある2台の据え置き型電波時計も、毎日がんばって受信しようとしているけれど、残念ながら全く受信できていない。

ここで、今回登場してもらう我が家の電波時計を紹介したい。

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(1) SEIKO KR314M
目覚まし時計として、枕元で使用している電波時計。しかし全く電波を受信できないので、最盛期(?)には10分ほど時刻が進んでいた。

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(2) CASIO DQC-100NJ
デスクに置いて、日常的に使っている電波時計。日付表示が大きいので重宝しているが、やはり全く電波を受信できない。

これらの電波時計は、私が言うのもなんだけど、すごくがんばっている。どれだけがんばっているのか、1つ目のSEIKOの電波時計の場合を見てみよう。

この時計は、取説によると一日に8回、自動的に電波を受信する設計になっているようだ。つまりは、一週間で56回、一ヶ月で240回、一年ではなんと2920回もの受信動作をしていることになる。
しかし、7年ほど使っていて、電波を受信できたのは実に1回だけである。その1回もほとんど奇跡と言ってよく、たまたま受信できているのを発見した時には、思わず部屋の中で狂喜乱舞してしまった。

こんな風に、そのほとんどが失敗に終わるにも関わらず、従順に電波を受信しようと試みる電波時計。本当に、毎日ご苦労様である。
そんな電波時計の労をねぎらうべく、電波を思いっきり受信できる場所に連れて行ってあげよう! と思うのは、人間の感情としては間違ってないだろう。いや、むしろ連れて行かせて下さい! と願い出たいほどである。

そんなわけで、これら2台の電波時計を携えた私は、一路福岡へ向けて旅立ったのであった。

はがね山標準電波送信所への道

「はがね山標準電波送信所」は、福岡市内から車で約1時間半、そこから徒歩で1時間ほど山を登った先にある。普段あまり運動しない私にとっては、決して楽な道のりではないけれど、電波時計のことを思うと足取りが軽くなる。
待ってろよ、もうすぐ存分に電波が受信できるぞ!

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はがね山への登山口には、「白糸の滝」という観光名所がある。そこの駐車場にレンタカーを止めさせてもらい、いざ山の頂へ。

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多くの親子連れがヤマメ釣りや流しそうめんに興じるのを横目に、私(と電波時計)はひと気のない道へと足を踏み入れた。

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送信所への道は、自動車も通れるよう舗装されているため、歩きやすい。送信所の職員にとっては、通勤路ともなる大切な道である。

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そんな道を10分ほど進むと、看板の群れが現れた。ここから先が、送信所専用道路である。

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看板にも書かれてある通り、ここからは立入禁止なのだが、よく見ると「登山者以外の」という但し書きが付いている。後で分かったのだけれど、この送信所内には羽金山の三角点があるため、登山者だけは通行を許可してくれているようだった。
そのありがたい措置に感謝しつつ、そのまま中に立ち入らせてもらう。

しかし、ここまで来ただけで、私の身体はすでに汗だくになっていた。特に、普段持ち歩かない置き時計を2つも持っていることが、多少の負担になっていたのは確かである。とは言っても、ここで挫けるわけにはいかない。「いやいや、苦労して電波時計を連れて行くことに意味があるんだ!」と自分を奮い立たせた。

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途中、「デッカ橋」と手書きされた橋(たぶんデッカ橋)を渡ったりしながら、単調な道を登ることさらに数十分……

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あ、アンテナが見えてきた!

ここから先は、あっという間であった。
そして大阪を出発してからおよそ6時間30分、ついに念願の「はがね山標準電波送信所」に到着した。

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いざ送信所の敷地内へ

門のところのインターホンで中の人に連絡すると、送信所の敷地内に入れてもらうことができた。

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さすがに真下から見上げるアンテナはど迫力だ。なんと言っても、でかい! 高さは200mあるという。まわりに何もないので、その大きさが分かりにくいのだが、200mというと東京タワーのおよそ2/3である。かなり広角のカメラを使わないと、全景が抑えられない。

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アンテナからは、何本ものワイヤが伸びている。これら全てが合わさって、アンテナとして機能しているという。全体を見ると傘みたいな形になっているので、こういうのを傘型アンテナと呼ぶらしい。

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改めて送信所の全景図を見ると、200mのアンテナが立っている局舎を中心に、各ワイヤにアクセスするための道が延びている。RPGのマップみたいで面白い。

それにしても、ここが大阪で受信していた電波の発信元かと思うと、電波時計でなくとも興奮してしまう。ましてや、電波時計にとっては、この場所は聖地とも言うべき重要な場所である。電波時計の興奮たるや、いかなるものだろうか。

さて、ここからは念願の電波受信タイムに移ろうと思う。

標準電波について

……と、その前に、電波時計が受信する標準電波について少し調べてみた。せっかく受信するのだから、それがどんなものか知っておいても損はないだろう。

情報通信研究機構のウェブサイトによると、標準電波送信所から送られる標準電波には、タイムコードと呼ばれる時刻情報が乗っている。電波時計は、そのタイムコードを見て時刻を合わせているようだ。(かなり大雑把な説明なので、詳細が気になる人は自分で調べてね)

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(クリックで拡大)

タイムコードは、現在の時・分、1月1日からの通算日数など、現在時刻を表す60bitの情報である。そしてこれは、毎分0秒から1秒ごとに1bit、つまり1分間かけて全60bitが送信されている。そのため、電波時計の時刻合わせには、最低でも1分はかかることが分かった。

また、ノイズなどの影響によって、正しくタイムコードが受信できない場合がある。そのため、通常はタイムコードを複数回受信することで、その精度を上げているらしい。この辺は時計によって違うので正確には分からないのだけれど、最高の環境で電波を受信したとしても、少なくとも2~3回のタイムコードを受信、つまり時間にして最低でも2~3分はかかると見てよいだろう。

さて、私の電波時計は何分で時刻合わせが出来るのか、これも楽しみにしておこう。

念願の電波受信

そして、いよいよ受信の時が来た。はるばる大阪から持って来た電波時計を取り出し、セッティングにかかる。

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ここで、標準電波受信によって時刻がピッタリ合うのを確かめるため、2つの時計を次のように準備した。

 ・左の時計(SEIKO)は、あらかじめ正確な時刻に合わせておく
 ・右の時計(CASIO)はわざと時刻をずらしておき、その状態で電波を受信
  → 成功すると、2つの時計の時刻がピッタリ合う

その贅沢な電波受信の様子は、是非とも動画でご覧頂きたい。


結果、右の時計(CASIO)で標準電波を受信し、見事3分10秒ほどで時刻の修正が完了した。

動作を見てみると、まず標準電波を2回受信し、3回目の受信のラストでタイミングを計って時刻を合わせるという、理論的にもほとんど最速と思われる、かなりの好タイムをたたき出している。

こんなにも贅沢な環境で標準電波が受信できる電波時計は、おそらく数億個に一個くらいなものだろう(憶測)。電波時計も、気持ち嬉しそうに見える気がしないだろうか。ああ、本当に電波時計を連れて来てよかった! そう思える至高の瞬間であった。

(もちろん、もう一個のSEIKOの時計の方も電波を受信させました)

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そんなこんなで、私と電波時計との旅は無事に終わったのであった。
電波時計は、また電波的に不自由な生活に戻るであろう。しかし、「はがね山標準電波送信所」で標準電波を受信した思い出は、いつまでもその心の中(クオーツ?)で生き続けるだろう。たぶん。

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私と同じく、電波時計を連れ出したい方、または電波時計が電波を受信しないとお悩みの方も、ぜひ「はがね山標準電波送信所」に行ってみて欲しい。ちなみに職員の方の話によると、敷地内の草むらにはマムシが出るらしいので、同じようなことをされる方はご注意を!

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最後に電波時計と一緒に記念撮影した。

(※記載の内容は、2014年6月15日時点の情報です)


駐車場からにじみ出る欲、「よくばり駐車場」

星の数ほどある駐車場のなかには、管理人の欲がにじみ出た駐車場が存在する。

ここでは、そんな駐車場を「よくばり駐車場」と名付け、それが如何に欲ばっているかを観察したい。

欲レベル:★★

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土地の形が悪く、広さの割に4台しか止められない駐車場。そこに、なんとか5台目のスペースを確保したのが本物件である。

3番と4番の車が出られるかどうかは、全て5番の止め方にかかっている。

駐車スペースを確保したいという一心で、置き方は使用者に委ねるというこの謎のスタンス。

そして、ただでさえ狭いのに、こんもりとした植木を置いてしまう点もよくばりである。

欲レベル:★★★

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木と電柱のワイヤに阻まれた、魔の37番。

木を切るなんて選択肢はない。木があっても止められるんだから、木を切る必要はないという、管理人の確固たる意思が感じられる。

他の駐車スペースよりも幅は広いし、木陰にもなって涼しかろう。そんな風にポジティブに考えられる人にとっては、よい駐車スペースかもしれない。

欲レベル:★★★★★

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この駐車場の欲深さは、最初から3台止められる駐車場として設計されているところに表れている。

つまり、取って付けたような狭い斜めの駐車スペースが、この駐車場の「1番」なのだ。決して、取って付けた訳ではないのだ。

果たして、この1番に止められる車はあるのだろうか。そして、2番の車は出し入れ可能なのか。

いろんな疑問が頭をよぎるが、ここの管理人はきっとそんなことなんて微塵も考えていないに違いない。

なぜなら、ただでさえ無理のある1番に、堂々と自販機を設置してしまうのだから!

あゝ、人間はなんと欲深い生き物であることよ。


エアコン配管展の記念スポットを作る

いきなり宣伝だけど、5月に個展を開催することになった。その名も、「エアコン配管大百科」!

logo

●会期: 2014年5月1日(木)~5月26日(月) ※14時~20時(火水は定休日)
●会場: 大阪中津・シカク
→ 詳細は特設ページで!

これまで、同人誌「よくわかるエアコン配管観察」や、日刊サイゾーで記事にして頂いた「作業員のセンスに萌える、エアコン配管観察家」で発表したような、エアコン配管をメインとする写真展である。キテレツ大百科みたいな感じで、次はどんな発明(発見)が飛び出すのか、わくわくドキドキするような展示になればなぁ、という思いを込めて、このタイトルにしたとか、しないとか。この日のために、半年以上も前から準備を始めているという力の入れようなので、お近くまでお越し方は是非どうぞ。

●個展を思い出深いものにするには

ところで、せっかく個展まで足を運んで頂くわけなので、何か記念になるものが欲しいところ。個展のオリジナルグッズとしては、全40種類のエアコン配管トレーディングカードという、ほぼコンプリート不可能なトレカを制作してはいるが、この個展をもっと思い出深いものにするためには、あれが必要だろうと考えた。

そう、記念写真を撮るスポットである。例えば、顔出し看板があったらみんな大喜びしてくれるのではないか。

aircon_card エアコン配管トレカは、5枚200円で販売予定

ただ、エアコン配管と顔出し看板はどうも結び付かない。室外機の羽の部分から顔を出す、というのも考えたが、それだと床に這いつくばる必要があるので、普通の人は顔を出さないであろう。

どうしたものかといろいろ考えた結果、現実的な顔出し的スポットとして、こんな案を考えた。

etc02 苦慮の末に生み出された案

実際のエアコン配管を用意して、それを室外機に見立てたパネルと組み合わせることで、エアコン配管のある風景を再現するのである。こうすれば、配管と共に写真が撮れる。

顔出しじゃないけれど、エアコン配管展の記念には相応しいスポットとなるのではないか。さらに、お客さんに実際のエアコン配管を間近で見てもらうことも出来るので、まさに一石二鳥である。

そうと決まれば善は急げ。早速エアコン配管を用意した。

●エアコン配管制作編

haikan00エアコン配管セットの全貌

普通の人はまず買わないであろう、エアコン配管セット。個人でも手に入るのかと心配していたが、ネット通販で普通に買うことができた。そっけないパッケージ(というかただのビニル袋)が、業務用感を醸し出している。

ここでいうエアコン配管セットとは、エアコン設置に必要な諸々(冷媒管、ドレーンホース、電源ケーブル、テープなど)がひとまとめになったもので、これだけあれば他には何もいらないぜ! という、至れり尽くせりのセットである。これが3mで4000円くらいだった。3mである。そう、3m。

haikan01 配管(冷媒管)をセッティングしたところ

最初の案では、配管は4~5mとしていたが、大人の事情(主に予算)により3mとなったのだ。なので、案より若干短い気もするが、細かいことは気にせずに作業を続けることにする。

ここで「エアコン配管」と呼んでいる管、正確には「冷媒管」は、力を加えるとある程度は自由な形に曲げることが出来る。購入時にはグルグル巻きになっていた配管を、力尽くで成形して自立するように整えたのが、上の写真である。

ところで、エアコン配管観察では、「配管のくねくね度」というのを重要視している。くねくね度は、見た目の美しさを決定付ける重要なファクタであるからだ。

aircon00 くねくね度の高いエアコン配管というのは、こんなの

例えば上の写真を見たら、誰もが「なんてくねくねなんだ!!」と思うであろう。これが、くねくね度が高い=見た目が美しくない配管である。

でも、実際にエアコン配管を曲げてみると分かるのは、真っ直ぐにするのは案外難しい、ということだ。私もがんばって成形してみたが、思うように配管が曲がらず、どうしてもくねくね感が残ってしまう。

haikan01 もう一度掲載。若干のくねくねは許して欲しい

本当は、足となる部分はもっと真円に近い渦巻きに、上に伸びる部分は直線にしたかった。でもこれが私の精一杯であった。これでは、街で見かけるくねくね配管を安易に笑うことは出来ないなあ、と思った次第。実際に手を動かしてみないと見えてこないものもあるのだ。この辺は、実際に個展会場で配管を触って体験してみて欲しい。

気を取り直して、配管をセッティングしていく。

haikan02 成形した冷媒管に、ドレーンホースと電線を沿わせて……

haikan03 それらをまとめてテーピングする

テーピングを終えると、見慣れたエアコン配管の姿となった。

今回は展示するだけなので、ドレーンホースも電線も必要ないのだけれど、実際の配管を見てもらう目的も兼ねているため、出来るだけ本物に近い形にしてみた。知らない方も多いと思うが、エアコンの配管って、こんな風に複数の管や線が束ねられた構造をしているのだ。

haikan04 アップで見るとこんな感じ

そんなこんなで、配管部分は完成した。次は、室外機に取りかかる。

●室外機パネル制作編

配管が本物なら、室外機も本物……というわけにはさすがにいかないので、パネルを制作することにした。

panel00 これが用意した室外機の画像

室外機の写真は、キレイな長方形となるよう歪みを補正し、さらに水彩画調のフィルタをかけることで解像度の低さを誤魔化した。そして、通常はメーカの銘板が入る部分に、個展のロゴを配置して完成。

これを、プリンタでA4サイズ9枚に分割して出力する。

panel01こいつ、でかいぞ

実物の室外機より若干小さめの縮尺にしたものの、家の中で見るとでかい!

広げる場所がなかったため、布団の上の写真で失礼。枕元にあるのはiPad miniなので、比較するとその大きさが分かるであろう。「屋外でしか見ないものを部屋の中に持ち込むとでかい理論」(提唱者不明)を地で行く形となった。

そして、この写真をパネルに貼り合わせていく。

panel02今回用意した、のり付きのパネル、ハレパネ(A3)

panel03 これに先ほど印刷した写真を貼り付け……

panel04 ずれないように気を付けながら、写真2枚で1枚のパネルが完成

panel05そのA3パネルをさらに組み合わせて、一枚の室外機パネルを仕上げていく

余談だけども、この作業、単純なように見えて意外と難しい。特にパネルのカッティングで失敗する場合が多いので、もしこれから室外機パネルを作ろうとされる方(たぶんいないだろうけど)は、道具をきちんと揃えてから望むことを推奨する。特に、50cmのカッティング用定規(カッターが当たる面にステンレスが付いているもの)と、A3のカッティングマットは必須である。あとはコツを掴むまで練習した方が良い。個人的には、同人誌の化粧断ちで鍛えたテクニックが、意外なところで生かされた形となった。

panel06 細部や曲面は、小さいカッターで整えていき……

panel08最後にそれぞれのパネルを、裏から段ボールを使って接着する

こうして出来上がったパネルがこれである。じゃーん!(登場音)

panel07これが室外機パネルだ!!

今度はiPhoneと比較してみたが、やはりでかい。そして、そもそも室外機が部屋の中にあるという違和感……。なんだかわくわくしてきた。早速、配管と組み合わせてみよう。

●そして完成へ

panel09写真撮影スポット、堂々の完成!

用意しておいた配管の前に、100均のブックエンドに貼り付けた室外機パネルを置くと……そこには、よく見るあの光景が!

あー撮りたい! この前で記念写真を撮りたい!!(そう思わなくても、撮りたい! と思って下さい)

panel10 はい、チーズ!

というわけで、写真を撮ってみた。かなり様になっているように見えるのは私だけだろうか。

これにて、エアコン配管と一緒に写真を撮れる、そして思い出に残る記念スポットが完成した。個展に来て下さった方々が、このパネルの前で嬉しそうに写真を撮られる姿が目に浮かぶようである。

みなさんも是非、「エアコン配管大百科」に来て、配管と一緒に写真を撮ろう!

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繰り返しになるけれど、「エアコン配管大百科」は以下の日程で開催予定です。

●会期: 2014年5月1日(木)~5月26日(月) ※14時~20時(火水は定休日)
●会場: 大阪中津・シカク
→ 詳細は特設ページで!

期間中、5/10(土)にはトークイベントも開催予定。その他、私の在廊予定などはTwitterで告知しますので、ご確認下さい。

panel11 リアル室外機と肩を並べる室外機パネル&配管