2004年11月03日

文化の日トリップ 新改駅

夏に使った「四国再発見きっぷ」が余っているので,それを使って出かけてきた文化の日。
目的地は,土讃線「新改駅」。夏の終わりに,同じく土讃線の「坪尻駅」を訪れたが,この新改駅もまたスイッチバックの駅であり,秘境感も坪尻に引けを取らない。
「自由と平和を愛し,文化を薦める」という文化の日に相応しい一日にすべく,一路「新改駅」に向かって旅立ったのであった。

---さて,阿波池田駅発の土讃線下り普通列車は,日本三大秘境のひとつ,祖谷地方の壮大な渓谷美を眼下に望み,珍駅名として知られる大歩危(おおぼけ)駅,そして橋上の駅として有名な土佐北川駅を通過。土佐山田町に入り繁藤駅を過ぎ,長い長いトンネルの連続を抜けると,ようやく目的の新改駅へと差し掛かったのであった。

一旦引上線に入った列車は,方向を変えて駅構内に入場する。
ワンマンなら運転士が前に後ろに行ったり来たりするところだが,今回は車掌が乗務していたため,運転士は逆サイドにいる車掌と連絡を取りつつ,ゆっくりとバックで列車を動かす。
こうして列車は,山奥の静かな静かな駅に到着したのであった……。

列車が去ると,辺りは静寂に包まれた。
駅舎は幾分新しい感じだが,苔むすホームには哀愁を感じる。周りは山に囲まれていて,別段何があるわけでもない。昔は駅前に商店があったようだが,いまはそこも廃屋となっている。最近はあまり見なくなった公衆電話の緑色も,周囲の緑に溶け込んでいる。

駅前には,舗装道路が通っていた。片側は行き止まりになっているので,新改駅に来るためだけに通る道のようだ。
少し道を降りてみると,眼下に工事現場(?)のようなものと,多少の民家らしきものが見えた。あとはひたすら山……。

線路を見てみると,スイッチバックの引上線と本線のレールが美しい形を作っていた。
この写真の左手前(阿波池田方面)から右奥(高知方面)に伸びるのが本線で,右手前が新改駅へ通じる線路。阿波池田方面から新改駅,また新改駅から阿波池田方面へ向かう場合は,いったん左奥の引上線に入ることになる。

駅舎内には,おなじみの「駅ノート」が設置されていた。丁寧に整理されている。管理人さんがいて,こまめにノートのチェックをやっているようだ。
その横には生け花。これは長年放置されているものではなくて,最近生けられたもの。駅ノートの記述をみると,どうやら地元の方がわざわざ生けに来てくれているようである。何もない,誰もいない駅に生けられた花。見る人は少ないだろうけど,この駅に来た人のために生けてくれている,地元の方のやさしさがうれしい。

ひととおりの散策も終わり,駅舎の中で駅ノートを読みふける。ドライブをしていて偶然辿り着いた人もいれば,辛いとき一人になりたくてやって来た人いる。いろいろな人の思いを乗せて,列車はこの駅にやってくるようだ。
14時33分,今日も時間どおりに列車はやってきた。つくづく日本の鉄道は優秀だなぁ,と思いながら,ワタシは帰路につくのであった。

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