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ポストの向きと「そっぽポスト」について

ポストの向きって、気にしたことあるだろうか。
(※ここでは、ポストの向き=投函口を正面としたときの向きを指すことにする)

ここに、何の変哲もない路傍のポストがある。

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このポストの向きを観察してみよう。

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一目瞭然ではあるが、人が歩く方向(動線)に対して、垂直の向きにポストが設置されている。どの方向から来た人にも投函しやすい向きを考えると、このポストの向きは必然であると言える。

他のポストも見てみよう。例えば、次のポストは少し変な場所に設置されている。

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木の根元に生えるように立っていて、周りがやけに混雑しているポストである。しかし、このポストも例外ではない。

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先ほどのポストと同様に、ポストの向きは、動線方向に垂直となるよう設置されている。

そうなのだ。ポストの向きって、普通に考えるとほとんど一意に決まるのである。

さて、一般的なポストの向きについて理解が深まったところで、次は設置場所に応じたポストの向きを見てみよう。

● 歩道上にあって、車道側にあるポスト

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もちろん車道の方に投函口があるはずはないので、ポストは車道に背を向けて、歩道に向いて立っている。

● 歩道上にあって、建物側にあるポスト

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これも当たり前だけれど、建物の方に投函口があると歩行者にとって不便なので、ポストは建物に背を向けて、歩道に向いて立っている。

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また、歩道がなくて路側帯(もしくは直接建物)に設置されたポストは、必然的に建物に背を向けて、道路に向いて立っている。

● 広い空間に設置されたポスト

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これは大きな駅前なんかでよく見られるタイプで、ポストの周囲が空いているため、どの向きにも自由に設置できるポテンシャルを持っている。しかしこの場合も、通常は一番広くて人通りが多い歩道に向けて立っている。

と、ここまで観察してみると、「ポストの向き」について関心が沸いてきただろうか。

そうなると、次はいままで見てきたポストとは異なる向きのポストが気になってくるはずである。何事にも、「一般」があれば「例外」があるのだ。

● 壁を背にするポスト

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この2枚の写真は、どちらもこれまで見てきた「ポストの向き」の法則に反している。つまり、ポストが動線と並行の向きに設置されているのである。

写真奥の方から歩いてきた人は、ポストへ投函するために一度方向転換しなければならない。また、そこにポストがあること自体を見落とす可能性もあるだろう。これまでの典型的なポストの向きからすると、少しばかり不親切なポストであることは明らかだ。

しかし、この苦渋の配置(憶測)に至るまでには、きっと何かしらの理由があったに違いない。それに、「壁を背にしている」ところを見ると、その気持ちは分からなくもない。例えば駅で待ち合わせをするとき、コンコースのど真ん中に立っているより、柱に寄り添って立っていた方が安心するだろう、その原理である。

さて問題なのは、次のタイプのポストである。

● そっぽを向いたポスト

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ここまで読み進めた方は分かるであろう、このポストの向きの異質さが。動線の方を向いているわけでもなく、壁を背にしているわけでもなく、宙ぶらりん。一瞥しただけで、「ちょっと、あんたどこ向いてんの!」って叱ってあげたくなる。

これはまるで、人間にそっぽを向いて、ハガキの投函を拒んでいるかのようだ。なので、このタイプのポストを「そっぽポスト」と呼ぶことにした。

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ああ、ポストよ。どうしてそんな方を向いているのか。こっちの気も知らず、ポストは黙って明後日の方向を見続けている。我々人類がそうであるように、ポストにもいろんな気分のやつがいるのだと、「そっぽポスト」は気付かせてくれた。

ポストの向きを観察していると、思わぬポスト社会の闇に足を踏み入れそうになる。普通のポストの影に隠れて、ひっそり存在している「そっぽポスト」。もっとその存在に目を向けてあげるべきである。